タペストリーはヨーロッパの室内装飾文化の重要な役割を担う、壁掛けの高級織物の名称です。
フランスのほぼ中心、ヌーヴェル=アキテーヌ地方のクルーズ県に位置するオービュッソンはタペストリー産地として古来より知られ、この街で織られるタペストリーをオービュッソン・タペストリー呼びます。21世紀まで生き残った産地として世界的知られ、その技術・技法は世代から世代へと受け継がれてきました。
オービュッソン・タペストリーは、優れた職人技、製法、素材、織機や道具、そのすべてのノウハウは厳重に保護されており、現代でも高品質でラグジュアリーな装飾品として知られています。
これらのタペストリーは現代でも美術館、大聖堂、高級ホテル、城、宮廷、そしてフランスの上院などの権威ある機関、またはご邸宅の素敵な居間を飾っています。

歴史
- オービュッソンにおけるタペストリーの歴史は15世紀にまで遡ります。諸説ありますが、北欧からフランドルの織工が到来したことで発展したとされる説が有力です。
- 16世紀から17世紀にかけて隆盛期を迎え、ルイ14世の治世下で、タペストリー生産の中心地として正式に認められました。
- 20世紀には、ピカソ、ル・コルビュジエといった偉大な芸術家たちともコラボレーションし、また下絵画家かつタペストリー復興の父として知られるジャン・リュルサによって再び日の目を浴びることとなりました。

特徴
- 伝統的な水平型織機で1品ずつ手織りされています。
- 基本的には経糸に綿糸を、緯糸に様々な色に染めたウールを使用し、絹糸などの他素材と混ぜる合わせることもあります。
- 風景画、聖書、神話の場面、現代美術など、非常に精緻な描写が特徴。
- タペストリー1枚の完成には、サイズや複雑さに応じて数ヶ月から数年かかることもあります。
- 作品はそれぞれが唯一無二の手工芸であり、下絵画家、染色職人、織り手たちの協力によって完成しますが、現代では織り手が下絵の作成を手掛ける場合も多くあります。
ユネスコ無形文化遺産登録
2009年、オービュッソン・タペストリーのノウハウはユネスコの無形文化遺産に登録されました。 この認定は、この伝統工芸の歴史的、芸術的、そして文化的重要性を評価されたものです。
地理的表示(Indication Géographique)
Tapisserie d’Aubusson (タピスリー・ドービュッソン)」(オービュッソン・タペストリー)の名称は、国家の定める公式の地理的表示(GI)によって保護されています。 INPI(フランス国立工業所有権機関)が発行するこの表示は厳密な監査のもと、何世代にもわたって受け継がれてきた伝統的なノウハウ、歴史的な慣習に沿った材料と技法を用いての製織であるかなど、いくつもの項目を遵守されて制作された作品であること、またその品質を保証します。
タペストリーの保証および鑑定書について
- 鑑定書:タペストリー1枚ごとに発行されます。GI登録番号とタペストリーのすべての識別情報が記載されています。
- 作品ラベル:タペストリーの裏面に直接縫い付けられたラベルで、情報が手書きで記載されています。これはタペストリーの識別情報であり、GIロゴ、作品の登録番号、そしてアーティストのサインも含まれています。
- エディション番号:タペストリーの裏面に、タペストリーの続きの一部として織り込まれており、後から取り外したり追加したりすることは出来ません。作品にもよりますが、オービュッソン・タペストリーのエディションは8点が上限です。
- 工房ロゴ:タペストリーの表面に織り込まれているか、裏面にあります。タペストリーの一部であり、後から取り外したり追加したりすることは出来ません。これはアトリエ・A.KONOMIのロゴです。
- アーティストロゴ:デザインしたアーティストのサインまたはロゴが、任意の場所に織り込まれます。これはアーティスト許斐愛子のロゴです。

